A.シェーンベルクの教育活動と音楽思想
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概要
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A. シェーンベルクの創作活動と教育活動に何らかの関係性があることは、従来から指摘されている。教育者としての彼の側面は、彼の生涯と音楽を考える上で重要である。本論では、これまで省みられることの少なかった、彼の教育活動の思想について考察を行う。 シェーンベルクの教育活動は経済的な理由という側面もあるが、同時に彼の教育活動に対する絶え間ない熱意の結果でもある。彼の教育活動について、2つの点が強調できる。ひとつは、音楽を志す若者に、個人授業やゼミナール形式の講義や演奏会を通して、専門家育成のための教育を行っていたこと。もうひとつは、一般聴衆や必ずしも音楽を専門としない者に、教養としての音楽を教えていたことである。 シェーンベルクは、音楽理論書の執筆や音楽作品の創作の他に、自身の教育思想に関する論文を多数執筆し、論文で彼が理想とした教師像、教育の目的、教育実践、すなわち、学習者に自己陶冶を促す教育を明らかにした。これは常に芸術の本質を追究することを意味し、自身の芸術創作において向けられた厳しさと同一のものでもあった。 従ってシェーベルクの教育活動の根底にあった音楽思想と、創作において彼が音楽の本質を追求した音楽思想は、不可分であり、この両者が彼の全体としての音楽思想を形成した。
- 東京情報大学の論文
- 2005-02-28