三経義疏と倫理教育に関する一考察 : 『幼學綱要』との比較を中心に
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概要
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聖徳太子は三経義疏すなわち『法華義疏』四巻,『維摩経義疏』三巻,『勝鬘経義疏』一巻を撰して,国民倫理の基本を明確にしたとされている。本稿は,聖徳太子が仏教を基盤として著したこの理念を明らかにし,明治期における倫理教育の基本ともいうべき『幼學綱要』七巻の理念との比較考察のなかから,これからの倫理教育理念の方向性を見出そうとしたものである。 その教えの基本は万善同帰であり,「将欲正他先正己身」と「己所不欲勿施於人」をこころとする善行の実践を,著を捨て「直心是道場無虚假欲」を理解しつつ行う時,人恭敬し,天欲念するとする。この善行の教えは『幼學綱要』においても生かされており,ここに日本人としての倫理的行動規範を見出すとして,内観的自行をはじめとした善行実践の心を広めることをすすめている。
- 2000-06-30