出生前ストレス負荷幼若ラツトにおける視床下部下垂体副腎系のストレス反応性について
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概要
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我々は, 出生前ストレスが視床下部下垂体副腎(HPA)系のストレス反応を変化させるかについて幼若ラットを用いて検討した。妊娠ラットに妊娠14-21日の連日, 生食投与(S1), 光・熱刺激を伴う弱拘束(S 2), 拘束ストレス(S3)によるストレスを負荷した。妊娠19日, これらのストレス負荷開始20分での母体血中ACTHはS2およびS3群で有意に増加した。S2及びS3群の雄胎仔血中テストステロンは対照群雄に比べ減少した。生後30日の幼若ラットに20分の急性拘束ストレスを負荷して血中ACTHおよびコルチコステロン(B)の反応を測定した。対照群ではストレスによるACTH分泌に明らかな性差を認めたが, S2およびS3群では性差はみられなかった。出生前ストレスはS2およびS3群雄のACTHとBの分泌を増強した。雌では, 出生前ストレスはストレス下のACTH分泌に影響を与えないが, B分泌は雄と同様増加させた。生後60日では全群でHPA系のストレス反応に性差がみられたものの, 出生前ストレスの効果は減弱した。これらの結果は出生前ストレスが幼若ラットのHPA系のストレス応答を増強したことを示すとともに, 周生期のエストロゲン環境がストレスに対するACTHの性特異的な反応の出現に一部寄与する可能性が示唆された。
- 帝京平成大学の論文
- 1999-12-30