肺水腫成犬におけるInversed Ratio Ventilation (IRV)が頭蓋内圧に及ぼす影響
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概要
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雑種成犬にて肺水腫モデルを作成しコンプライアンスの低下した肺で,inversed ratio ventilation (IRV)がintracranial pressure (ICP)に及ぼす影響を検討した.人工呼吸器の呼気/呼気比(I : E比) 1 : 2での測定値を対照値として,ICP,体血圧,肺動脈圧,中心静脈圧,心拍出量,肺コンプライアンス,血液ガス分析,最高気道内圧(peak inspiratory pressure, PIP),平均気道内圧(mean airway pressure, mAWP)を測定した.その後に,オレイン酸(0.05ml/kgを30分間で持続静注)で,肺水腫を作成し,動脈血酸素分圧(PaO_2)の低下を確認した後にI : E比を1 : 2, 1.7 : 1, 2.3 : 1, 4 : 1と順次呼気時間を延長させ,再度,対照値のI : E比1 : 2に戻した.対照値の時と同じ測定項目をそれぞれのI : E比で測定した.ICP (mean±SD, cmH_2O)はオレイン酸投与前I : E=1 : 2で10.0±3.2,投与後は12.5±4.2と有意に上昇したが,吸気時間を延長させてもICPは10.0±2.9, 11.1±2.2, 11.3±2.7, 12.3±2.9と有意の変化を認めなかった.オレイン酸投与によりPaO_2,心拍出量は有意に低下し,肺動脈圧は有意に上昇したが,その他の測定項目は各I : E比間での有意の変化を認めなかった.以上のことから肺水腫の発生に伴い肺コンプライアンスは低下し,PIPの上昇とともにICPは上昇したが,その後吸気時間を延長させたIRVで換気してもPIPは変化せず,ICPには影響を及ぼさなかった.この結果は,肺コンプライアンスの低下した頭蓋内圧亢進患者へのIRVの適応の可能性を示唆した.
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