日本人の遺伝性球状赤血球症におけるankyrin遺伝子変異の解析
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概要
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日本人における遺伝性球状赤血球症(HS)の病因解析のため,genemic DNAを用いたanlyrin-1 (ANK-1)の遺伝子解析をおこなった.本研究では,HS63家系,67例を対象とした.このうち20家系20例において,HSの病因と推定される19種のANK-1遺伝子異常(frameshift mutation9種, nonsense mutation4種, splicing異常6種)が検出された.これらの遺伝子変異はいずれも,欧米諸国では既報がなく,わが国固有のものと考えられた.日本人のHSにおけるANK-1遺伝子異常は全体の30-50%を占めていると推察された.これらANK-1遺伝子異常を有する症例における赤血球膜蛋白分析の成績では,ankyrin蛋白欠損型を呈した症例は無く,一方でprotein4.2(P4.2)単独部分欠損を呈した症例が17例(85%)認められた.よって,日本人に特徴的とされるP4.2単独部分欠損を伴うHSでは,その多くがankyrin遺伝子異常を有しており,ankyrinがP4.2の安定性に関与している可能性が示唆された.
- 川崎医科大学の論文
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