精神障害者の家族支援についての文献研究 : 歴史的経緯と当事者研究から支援の方向性を探る
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
社会福祉基礎構造改革の中、精神障害者福祉も地域福祉へ・利用契約制度へとパラダイム転換が図られ、利用者主体が大きくうたわれている。しかし精神障害者福祉の分野は歴史も浅く、地域生活の支援・推進も困難な状況にある。その精神障害者支援の鍵を探すため、家族の支援という視点から、論じていきたい。精神障害者の過去の歴史は、人権が踏みにじられたものだった。近代以降、歴史的にどのように処遇を受けてきたのか、最近研究も増えている。しかしその影で、家族にとっても困難な歴史であったことが隠されている。第1章では、精神障害に関する法や制度の流れを家族の視点で経過を辿り、家族がどのように捉えられてきたのかに注目する。第2章では、心理教育と家族会という視点から、家族が病因として捉えられた時代から治療の対象を経て、支援の対象へと移行した経過を辿った。さらに家族会の変遷を法制度との関連に着目し辿り、その上で家族会が担った役割に注目し、現在の課題と今後の支援のあり方について提言した。第3章では、当事者研究という取り組みに注目し、研究当事者とその家族の関係を考察し、その研究内容から家族支援に生かす方向性を模索し、家族支援の新たな視点の鍵を提言したい。
- 名古屋市立大学の論文
- 2003-01-10