脳性麻痺の移動運動の予後 (<特集>脳性麻痺研究の到達点)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
脳性麻痺の歩行、移動運動の予後について文献的に検討した。またわが国の6肢体不自由児施設のCPを対象に歩行予後を検討した。歩行開始時期は6施設間で差がなかった。9歳以後に歩行開始した者はなく、歩行獲得には年齢的上限がみられ、過去の報告と一致していた。歩行予後は4歳までの6つの粗大運動の発達経過より88%の確率で予測可能であった。これらは過去の報告と大差なかった。これまでの早期療育、治療・訓練法の開発はCPの歩行予後に関して大きな変化を与えていない。またGMFCSの利用は6-12歳の粗大運動能力の予測をそれ以前の年齢で可能にした。GMFCSは、座位・歩行能力を予測するものとして有用であり、今後さらに活用すべき尺度である。歩行不可が予測されたCP児には早期から電動車いす等の歩行に代わる代替移動補助具を導入すべきである。それによる自立移動は、CP児の行動にプラスの変化を与える。一方CPでは歩行獲得後に再び歩行不可になることがある。それは、頸髄症、関節拘縮、関節痛など以外にも身体的消耗(physiological burn-out)によると考えられる。これに陥らないために、歩行のみを移動手段とするのではなく、杖や車いす等の併用が求められる。
著者
関連論文
- 低出生体重児における視知覚の発達特性 : Frostig視知覚発達検査とWechsler系知能検査の結果から
- 脳性麻痺の移動運動の予後 (脳性麻痺研究の到達点)
- 脳性麻痺
- 小児疾患
- 小児期の神経・筋疾患の自然経過
- 発達障害児・者のノーマライゼーションについて考える
- 発達障害児・者のノーマライゼーションについて考える