語幹の共通するドイツ語他動詞反義対について : 形態的・意味的分析(人間科学編)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿の目的は,恒川(1987 b)において十分に述べられなかった点,残された問題点なとに触れながら,語幹の共通するトイン語他動詞反義対について形態的・意味的分析を行うことである。形態的側面から眺めた場合,ドイツ語動詞反義対には,イ)異なる語幹によって形成されるものと,ロ)接頭辞の付加により共通する語幹から形成されるものとがある イ)異なる語幹によって形成されるもの (1) (Tur) schliefien/offnen (2) (Foto) vergrofiern/verklemern ロ)共通する語幹によって形成されるもの (3) (Tur) zuschieben/aufschieben (4) (Koffer) packen/auspacken このうち後者は,「(ドアを)開ける/閉じる」,「(トランクを)詰める/空にする」なと普通異なる語彙によって構成されている日本語動詞の反義対,類似の造語法を持つが関与する接頭辞かはるかに限定されている英語動詞の反義対に比べ,特徴的なものてある。このような理由から,本稿ては,一方あるいは両方の接頌辞付加により共通語幹から形成される反義対を取り上げる。また本稿では,このような形態的特徴を持つ2つの動詞に,ある共通する意味基盤が認められ,その共通意味基盤において「二者択一的関係」が成立する場合,その一対の動詞を「反義対」,そのような「二者択一関係」の構成に直接関係している動詞意味内容を「反義項」と呼んている。本稿で考察される問題点は,以下の3点てある (1)反義項の表示形態にはとのようなものがあり,反義対はそのとのような組合せにより構成されているか(2)反義対を構成する2つの動詞の意味構造において,基礎動詞がどのように関与しているか(3)反義対には,とのような意味部類のものが見られるかなお分析の対象は, Duden (1976-81)およひAgn-cola/Agricola (1984)に基ついて収集した事例のうち,具体的な対象物に対する具体的な行為を表す他動詞である。