幼児の脊柱側彎に関する一研究(自然科学編)
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概要
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近年,幼児・児童の特発性側彎症が問題となっている。側彎症は成長期にある子どもの脊柱疾患の代表的なものであり,特に幼児・児童には特発性側彎症が多いされている。しかし,その誘因や病因については現在のところ明らかにされていない。側彎症は,進行するものであり,ますます悪化する可能性がある疾患で,進行すれば外観だけではなく,やがては痛みや呼吸器障害をもおこすものであるから,早期発見につとめる必要がある。人間の脊柱の生理的彎曲は,前後にはあるが側方にはないのが正常であるにもかかわらず,特に幼児にはC型彎やS型側彎が多くみられる。子どもの前後彎袖については,桐生やその他の研究があるが,幼児の側方への彎曲についての資料は少ない。園や学校においては,幼児や生徒の保健の面から側彎症をないがしろにすることはできないが,現場では専門家や専従者を得られない悩みがある。昭和52年2月18日には,文部省体育局保健課長名で 「今後,定期健康診断に当っては,脊柱側彎症の発見に留意するとともこ,日常の健康観察においても……脊柱の異常の疑いのある者の発見につとめるよう」との通達が出された。また,昭和54年4月1日から児童生徒の定期健康診断の一環として,脊柱の検診が行われるようになり,脊柱側…の早期発見に努めるようになった。そもそも幼児の脊柱は柔軟性に富んでいるため,少しの歪みにか適応し筋肉,靭帯も適合され易い。その結果,斉一の筋肉の位置は失われて,やがては脊柱側彎を形成することになるであろう。脊柱側彎症は,医学的には原因別にいろいろの種類に区分されている。A 原因の明らかな側彎症 1. 先天性側彎症 2. 神経筋症 3. くる病性 4. 神経線維腫症 5. 代償性 6. 瘢痕性 7. 骨障害性 8. 疼痛性 9. その他 B 原因不明な側彎症 1. 特発性側彎症 そして,原因不明の特発性側彎症が側彎症全休の70%を占めるといわれている。この特発性側彎症は,過去の日本に於いては問題視されなかったが,最近の日本人の生活様式が欧米風になったためか,欧米と同じように脊柱側彎症が増加していることを多くの研究者が指摘している。したがって,現代のように多様化された時代の幼児の姿勢教育をおろそかにすることはできないと考え,干葉市内とその周辺の幼稚園児の脊柱の実態を知るために状況調査を行った。