学習効果を生み出す授業のあり方 : 何が役立ち,それはなぜなのか
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概要
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近年の技術進歩により,人間の脳神経系を扱う神経科学の分野では,人間の脳を生きている状態で研究することが可能となっている。MRIを用いて脳をスキャニングすれば,学習中の脳内変化の様子がじかに観察できるのである。人間本来が持つ脳の学習プロセスを理解することにより,授業における学習プロセスを妨害することなく向上・促進させる学習環境の構築が可能である。何が学習効果を増進させるのか。何がそれを妨害するのか?研究者たちは,「挑戦心(やる気)」が学習プロセスを増進させるのに対し,恐れは妨害であるということを突き止めた。我々教育者にとっては,このことを認識して授業に臨み学生たちが恐れを感じるような状況を減らし,しかもやる気を起こさせるような学習活動を導入することが重要なのである。本論文では,まず,学生が恐れを抱いた時に脳の内部では何が起こっているのかを解説し,学生の緊張の緩和にはどのような授業がよいのかについて,アイデアを提案する。そして,これまで私が教室で見出してきた,学生たちにやる気を起こさせ,学習効果につながった様々な授業指導を例示し,このような授業のあり方の意義を神経生物学的に検証する。
- 東海大学の論文
- 2001-03-30