関門域の方言動態 : 『下関市北九州市 言語地図』に見る
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概要
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この稿では、関門海峡をはさむ二市である下関市と北九州市とを合わせて関門域と呼ぶ。関門海峡は本土と九州を隔てる海峡であるが、古くから人の往来は頻繁であった。ことに海底トンネルと関門橋によって結ばれてからは、それはいちだんと促進されて、海峡を渡って通勤・通学する人も多い。そのような言語環境は方言状況の上にも影響を及ぼしているはずである。今、1)『下関市 北九州市 言語地図』上の老年層の方言状況から青年層の方言状況への動きを方言動態と把握して、その動きを見る時、もっとも著しい動きは、海峡をはさむ両域方言の同質化である。その同質化は共通語化であることが多いが、北九州方言への傾斜の状況も見える。またその一方には、両域方言の同質性、また方言差がそれぞれ温存されている状況もあり、新方言の受容あるいは創出の状況も見えていて、その動きは単純ではない。
- 1996-01-20
著者
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