倫理的問題を明確化した後に見えてきたもの : 看護婦である自分自身が経験した2つの事例を通して
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概要
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医療事故が多発する現状において、看護職者は看護倫理の原点に戻ることが必須となっている。看護倫理は日々の実践の中から倫理的問題を抽出し、分析・考察する作業により培われる。この作業の前提となるのは、倫理的問題を抽出するアンテナである倫理的感受性を看護職者が持っていることである。今回、看護婦である自分自身が経験し、倫理的問題であると考えた2事例を分析・考察した。その結果、筆者が臨床の場で受けた個人への責任追及に終始する医療事故防止の為の教育・指導により、敏感になることを通り越した自らの倫理的感受性が、自分自身を追い詰める傾向を作り、次第に看護職者としての自信を喪失させていったことがわかった。さらに合わせて現在看護雑誌等で、これまで臨床で行われてきた個々の医療従事者の努力だけに頼る方法から一歩進んだ、組織的な医療事故防止策の考え方として盛んに紹介されているリスクマネジメントについての考察を行った。
- 広島文化学園大学の論文
- 1999-09-25