癌手術後と精神症状 : 精神科カルテからの読みとりと看護の指針
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概要
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癌患者にとっては、不安、悲しみ、抑うつは正常な情緒的反応であるが、時に「病的」レベルに至る患者もある。癌手術後にT大学医学部精神科に入院した患者の記録をもとに臨床的背景-とくに心理社会的背景-を調査したところ、看護の指針を追究するために役立つ若干の知見を得た。即ち(1)抑うつ、不安を中心とする精神症状を呈し、うつ病性障害を来していた。(2)癌手術後2年半位までの精神科入院が多く、身体的回復と同時に精神的ケアが重要である。(3)病的レベルの適切な判断により治療を開始すれば、早期に改善する。(4)高齢患者を始めとして、家族支援の弱い事例が目立った。(5)患者のもつ不安、恐れの表出を促し、現実生活の中で自己評価を高める支持的精神療法が有効である。(6)患者個別のアセスメントにより、適応に対する自信回復への援助が重要である。
- 1999-09-25