針広混交林構成種稚樹の閉鎖林冠下および林冠ギャップ内での成長
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概要
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林冠木の年輪生長パタンから森林の過去の撹乱履歴とその動態を解明する目的で、樹木の稚樹の定着環境がその生長に与える影響を調査した。閉鎖林冠下と、天然林で通常に形成されるサイズの林冠ギャップ内において、稚樹の成長速度を比較したところ、ハリギリ(Kalopanax pictus Nakai)、イタヤカエデ(Acer mono Maxim.)、トドマツ(Abies sachalinensis Mast.)とも、ギャップ内での成長速度が林冠下のそれより有意に大きかった。ギャップ形成前後各10年間の平均の年輪幅の比(RWR)で比較すると、林冠下に定着した前生稚樹が1981年の15号台風によるギャップ形成をきっかけとしてリリースされた平均の割合は、ハリギリで3.7倍、イタヤカエデで1.9倍、およびトドマツで2.7倍であった。これらのRWRを用いることによって、林冠木の年輪幅の時系列上で、ギャップ形成によるリリースを識別することが可能である。
- 2001-12-30