「西周領主の土地の宗法の倫理形態についての研究」
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概要
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一定の政治形態は一定の経済形態の土台の上に建てられている。西周の倫理政治の形態はこれまでに学界で注目されてきた。しかし倫理政治の形態を支える倫理経済の形態はいまだ学界からほとんど重視されていない。筆者が本稿において論じようとする倫理経済の形態は、西周の倫理政治の形態および倫理意識の形態の土台をなす倫理経済の関係を指している。この倫理経済の関係は主として以下のように表現されるものである。すなわち経済の領域にあっては、純粋な経済原則がまだ支配的地位を占めておらず、支配的作用を発揮したのは各級の宗子、つまり周王を頂点とする姫姓の宗族を中心とした宗法秩序の中に位置づけられた特定の身分や地位であった。ここでは血縁の基準が経済的基準を支配していた。具体的には生産資源である土地の獲得、分割、譲渡または下級宗子から上級宗子への貢納等のさまざまな倫理経済観念の上に表現されていた。経済関係におけるこのような宗法身分制の特徴を、我々は「倫理経済の形態」と定義する。これは中国早期の国家形態の中で、宗族血縁組織によって作り上げられた国家の、経済の関係における反映である。自然経済を主流とする社会にあって、土地占用の形式は当然経済関係の主体を占める。このような点から本論は西周領主の土地の宗法の倫理形態を考察するものである。
- 茨城キリスト教大学の論文