オゾン層破壊の現実
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概要
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人類は地上で生活し、そこに文明を築きあげてきたが、生命の歴史をふりかえると、その大部分(約30億年)が水中生物のみの時代であり、陸上生物の時代はその後のわずか4億年にすぎないことがわかる。これは、4億年前までは、成層圏にまだオゾン層がつくられていなかったからである。オゾン層とは、オゾンを比較的多く含む大気の層であるが、オゾンは、太陽から地球に到達する有害な紫外線の大部分を吸収除去してくれるので、オゾンが上空に十分に存在しなかったときには、生物は陸地には危なくて住めなかったのである。またオゾンは、光合成生物(はじめは藻類)が約27億年前に地球上に登場して大気中に酸素を放出しはじめてからすこしずつ増えてきたものとみられている。したがってオゾン層は、生命が20億年以上の長い歳月をかけてみずからつくりだし、その後の陸上生物の飛躍的な進化を可能にした貴重な地球の防壁である。ところが近年、このオゾン層がフロンなどを使用する人間活動の結果として破壊されはじめていることが明らかになり、危機感が高まっている。そこで本稿では、オゾン層破壊の現実とその影響について簡潔に紹介したのち、今後の課題などを検討したい。
- 池坊短期大学の論文
- 2003-03-20