1,4-ジヒドロピリジン類の有機合成化学における有用性
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概要
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1,4-ジビドロピリジン類(DHP)は補酵素NAD(P)Hと近い化学反応性を有しており、DHPとその基質を効率的に活性化する有効な触媒を如何に見い出すかがその有機合成化学的応用への鍵をにぎる。この論文では、DHPを用いた有機合成化学上有用な高選択的還元反応について、我々の研究グループによる最近の研究結果をまとめた。シリカゲルは活性化炭素-炭素二重結合の選択的還元に対してDHPを効果的に活性化することが見い出された。その還元反応は、非常に官能基選択性が高く、非共役オレフィン、カルボニル基、ニトロ基、ハロゲンは不活性で、一方、ニトロ基、ケト基、ホルミル基により活性化されたオレフィンは非常に速く還元される。これらの反応の特徴は、新しい合成ルートを可能にし、天然化合物の合成に応用された。(セクション1) DHPを用いたシリカゲル触媒反応は炭素-窒素二重結合の選択的還元にも大変有用で非常に高い選択性を示すことが示された。その反応は、パラジウム触媒水素化反応や水素化ホウ素ナトリウムによって還元されるような炭素-炭素二重結合やカルボニル基の存在下でも行う事が出来る。(セクション2) 光増感剤存在下に可視光を照射することによってDHPが効果的に活性化され、温和な条件下でβ-ケトスルホンのスルホニル基が水素に定量的に変換されることが見い出された。この反応も非常に選択性が高く様々な官能基を有するケトンや天然化合物の合成に応用された。(セクション3)
- 1997-12-01
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