不安とうつの関係について
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概要
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1.否定的感情である不安と抑うつの関連について,これまでかなり検討され,ふたつの症状は別種のものであるという結果から,区別が不可能であるというものまであり一定していない。しかしいずれの研究も対象が臨床的に問題を特った人に限られており,また不安や抑うつの内容や深さなどについても何等検討されていない。2.そこで不安と抑うつの関連性について検討する一つの方法として,今回は,健常者を対象とし,調査1.不安の内容と抑うつの内容との関連性について調査2.不安の水準と抑うつの内容との関連性について検討することにした。3.対象は,調査1では,男子大学生70名,女子大学生70名。不安をみるにはCAS(不安診断検査),およびSTAI(状態,特性不安検査)を使用し,抑うつ性をみるには,Y-Gの抑うつ性尺度,およびSDS(自己評価式抑うつ性尺度)を使用した。調査2では,不安をみるにはSTAIを使用し,不安得点によって高不安群と低不安群に分けた。また抑うつ性をみるには,調査1と同じく,Y-GのD尺度とSDSを使用した。4.調査1からは,不安と抑うつとの間にはかなりの相関がみられ,不安と抑うつが深く関係している,つまり並存していることと,またSDSの生理的随伴症状にみられる抑うつにおいて,幾つかの部分が不安と独立した関係にあることが判明した。5.調査2からは,男子青年は,状態不安の高いひとは,生理的,身体的抑うつを生じやすく,特性不安の低い人は,生理的,身体的な抑うつとは縁がないのに対して,女子では,状態不安と抑うつ症状とは関係が少なく,特性不安の高い人は,生理的,身体的抑うつを呈しやすく,逆に特性不安の低い人は,男子と同じく生理的,身体的な抑うつ症状をあまり出さないことがわかった。6.これらの諸結果について,現在の青年に見られる身体的な種々の症状の裏に隠された不安感や抑うつ感の関連とその意味について,特に男女間の違いに焦点を絞って考察を加えた。
- 盛岡大学の論文
- 1998-03-19
著者
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