メージャー政権のマーストリヒト条約批准過程に関する分析 : 二レベル・ゲームの視点から
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概要
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研究ノート本レポートでは英国とヨーロッパとの関係、具体的には英国のジョン・メージャー政権がマーストリヒト条約を批准するまでの政策過程を、国際交渉政治の分析枠組みであるパットナムの二レベル・ゲームモデルを用いて分析する。イギリスがヨーロッパ統合の動きに対して、消極的な対応を採ってきた国であり、同時にヨーロッパ内で大きな影響力を有しているということは議論の一致するところであろう。したがって英国が欧州統合にどのように対応してきたかに着目することで、この国の欧州政策の将来を展望することは、欧州統合の成否を占う上においても有意義なことであろう。第一章では今回分析に用いる二レベル・ゲームの概略を、第二章では分析の対象であるマーストリヒト条約について簡単に検証した上で、条約発効までの英国とEC(本文では当時の呼称で統一)との駆け引きを、第三章では条約批准中の英国内諸勢力の動きと政府のそれへの対応を各々述べる。分析の題材が出揃った第四章で、条約批准を巡るイギリス国内外双方の動きを関連させた条約批准過程の分析を行う。この分析を通じて、マーストリヒト条約に端を発したEMUや政治統合などに代表される新たな段階に入った欧州統合と英国との関係の現状を整理すると同時に、将来の英国欧州政策の展望についての仮説を立てることが目的である。
- 同志社大学の論文