民事手続法政策論の「私的」模索
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概要
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論説本稿は、本研究科の専任教員として民事手続法政策論を担当してきた私の、この科目への思いを著したものである。当初は大谷實=太田進一=真山達志編『総合政策科学入門』成文堂、1998 年、の改訂版企画として、同書で担当した「第10 章総合政策科学と倒産処理」の全面書き直しという位置づけで脱稿したものである。しかし、改訂版の出版が都合により延期になったため、必要な修正を施して本誌論説として公表する機会を得ることになった。従来、民事手続法は、法律学の分野の中でも最も技術色が濃く政策とは無縁に思われがちであったが、近時の社会の変動の下、種々の課題に的確に対処すべく政策の視点が不可欠となった。もっとも、民事手続法という言い方自体がやや専門的すぎるものであることもあり、その全体像とこれがいかに政策と関わるものであるかをまず示した。その上で、本研究科で私が重点的に論じてきた倒産法制、司法制度改革という二つについて、その今日的状況を概観した。そもそもどのような問題状況にあるのか、そして、これに対してどのような政策論が展開され、いかなる立法に結びつけられているのか、また今後の課題は何か、を探ってみた。政策科学の分野では後発に属するが、関心の遠近にかかわらず、政策科学を志す方に一読していただければ望外の喜びである。
- 同志社大学の論文