わが国における自治体行政と地域住民組織(町内会)の現状 : 行政協力制度を対象に
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
研究ノート本稿は、自治体行政と地域社会との間に形成されている「行政協力制度」について分析している。2 節では、最初に行政協力制度について、過去の理論的研究、および、調査データ、事例を交えて論述している。行政協力制度とは、自治体行政が町内会のような住民自治システムに依存し、事務を「下請的」に委ね、町内会がその事務執行に参加するしくみであることを示した。また、行政協力制度の歴史的展開、行政協力をめぐる自治体行政と町内会の相互関係様式の類型化、行政協力の4 つの方式、行政連絡員制度、行政協力の内容の分類というように、行政協力の特徴をさまざまな側面に分けて記述した。そして3節では、1980年の自治省調査および 2000 年に筆者が行ったアンケート調査結果およびその補充調査の結果を示すことにより、行政協力制度の実態を、とくに(1 )町内会の概要、(2 )委託・依頼方法、(3 )委託・依頼されている事務の種類、(4 )補助制度、(5 )自治体行政・町内会の関係様式、にわけて論じている。自治体行政と町内会の関係という側面からみると、さまざまな自治体行政でその改革が進められたり、全体として町内会とのパートナーシップ構築をめざしたりするうごきが出てきているものの、多くの自治体行政は、従来型の行政協力制度に依存しているということが明らかとなった。そして最後に、自治体行政がなぜ行政協力制度に依存するのか、その理由をさぐってみた。