地方自治体における外国籍住民政策
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概要
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研究ノートバブル経済期以降の外国人労働者の大量入国からすでに15 年以上が経過し、現在では外国籍の住民は日常的に地域社会に居住している。そして現在、社会の少子高齢化により、外国人労働者の計画的受け入れが議論され始めている。しかし、外国人が地域社会に日常的に居住しているという事実は、現在の日本において、外国人が外国籍住民として地域社会に認知され、人権が保障された、差別や偏見を受けない生活を送っていることを意味してはいない。従来、日本における「外国人問題」は、資格外就労や超過滞在といった、法違反の問題として捉えられ、議論されてきた。しかし「外国人問題」とは本来、現在の日本において、適正な法手続きにより入国し、合法的な在留資格と在留期間を保持しながら居住している外国人が、地域において外国籍住民として、国際的人権保障の基準で人権が保障された生活が営めているか、という問題である。本稿は、従来の議論の中で最も本質的でありながら欠落していたこの問題について論じる。まず、現在の国際社会における外国人の人権保障の論理とメカニズムについて考察したうえで、国と地方自治体の政策について現状を分析し、課題を抽出したうえで、日本に居住している外国人の人権が国際的人権保障の基準で保障されているか検証する。そして現在の政策の不在を指摘し、その必要性を論じたうえで、地域において外国人の人権を今後どのように保障していくか、今後の政策の方向性を提示する。