日本型人事システムの再検討
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概要
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研究ノートバブル崩壊以降、日本的雇用慣行のもたらすコスト圧力やその非効率性を問題として、日本型の人事・雇用システムにおける抜本的な改革の必要性が提起されてきた。長期継続的雇用を前提とした年功的処遇を、雇用の流動化・多様化を射程に入れて成果主義的に再編すること、それが近年の改革における支配的な論調である。こうした改革の趨勢に対して、本稿では日本企業における人事・雇用システムの再評価を行い、漸進的な改革の必要性を主張する。日本企業はこれまで、製造業を中心に抜群の国際競争力を発揮するとともに、高い成長と生産性を達成してきた。それを可能としたのは、日本的雇用慣行のもたらす硬直性を修正的に克服しながら労使関係を人事諸制度へと安定的に構造化しえた人事労務管理上の成功によるところがおおきい。また、従来のシステムが効率的な技能形成を実現するものであったとして積極的な評価を与える論者も少なくないが、本稿では上記のような人事労務管理施策がこれを可能にしたものと捉える立場から、その仕組みをより立ち入って検討する。その上でシステムに内在する今日的な問題点を明らかにし、その補完可能性について検討を加えている。
- 同志社大学の論文