A Study of Recommendation Reports submitted by the Committee for the Promotion of Decentralization in Japan
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概要
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地方分権とは、地方自治体の自主性や自立性、役割や多様性を高めるために、計画的かつ総合的に、国から地方自治体への権限移譲を行い、国の関与を縮減廃止し、地方行政体制の整備等を行っていくことを意味する。地方分権が、「中央省庁主導の縦割りの画一行政システム」から「住民主導の個性的で総合的な行政システム」(『地方分権推進委員会中間報告-分権型社会の創造』)への変革として認識され、政府が分権社会に向けて何らかの方策を打ち出す原動力となったのが1993年6月の衆参両院での地方分権推進決議であった。第三次行政改革推進審議会(行革審)が同年10月に最終答申を提出、この中で国の担うべき役割は、(1)国家の存立にかかわる政策、(2)国内の民間活動や地方自治に関して全国的に統一されていることが望ましい基本ルールの制定、(3)全国的規模・視点で行われることが必要不可欠な施策・事業、の三項目に限定された。さらに、これを基調とする94年9月の地方6団体(全国知事会、全国都道府県議会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会)の意見書がその後の地方分権論のベースとなった。そして、94年11月の第24次地方制度調査会の答申内容は実質的にこの地方6団体の意見書をまとめたものであった。その後、同年12月の政府による地方分棒大綱の決定を経て、「地方分権推進法」の成立に至るが、本稿では同法を分権型社会への転換点となる契機を提供した法律として捉え、地方分権推進委員会の勧告内容のポイントと評価の提示を行った。
- 1999-10-01