『存在と時間』における言語論の可能性
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概要
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マルチン・ハイデッガーの主著『存在と時間』における「言語」に関する議論の持つ可能性を,現代言語哲学のより広い文脈の中で捉え返すことが本論の課題であった。「言葉」は,世界との開放的関わりの「分節化」という根本的な次元から捉え返される。諸々の言語理論を検討しながら,何故言葉がこの次元から捉え返されるべきかを究明し(第一章),この捉え返しによって,言語行為,コミニケーション,言語共同体といった言語の持つ諸々の層の存在論的基盤を解明し(第二章),『存在と時間』自体の叙述も,このような「言葉」によって可能になるということを論じた(第三章)。