Porphyromonas gingivalisシステインプロテアーゼ(ジンジパイン)によるヒト歯肉線維芽細胞のCD14分解とLPS低応答性
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概要
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Porphyromonas gingivalisは,成大性歯周炎の発症に係わる主要な病原菌と目されている。本研究では,歯周組織における自然免疫機構と同菌の産生するシステインプロテアーゼ(ジンジパイン)の関わりについて,種々の菌体成分のパターン認識レセプターであるCD14に着目して検討した。まず, P.gingivalis W83とATCC33277の培養上清でヒ卜歯肉線維芽細胞を処理し,同細胞のCD14分子発現をフローサイトメトリーで測定したところ,濃度依存的にCD14分子発現は減少した。各種プロテアーゼインヒビターで阻害実験を行ったところ,主としてジンジパインーR(Rgps)が同作用を担っていることが明らかとなった。さらに, 3種の精製ジンジバインをヒト歯肉線椎芽細胞に作用させると,高分子量型のRgp(HRgpA)が最も強力にCD14分子発現を減少させた。すなわち, 0.3μM HRgpAで30分間処理することによりCD14分子はほぼ完全に消失した。一方, Toll-like receptor4を含む他の抗原の発現には変化はみられなかった。細胞膜画分を供試した成績から,ジンジパインはCD14をタンパク分解していることが示唆された。さらにHRgpAで処理したヒ卜歯肉線推芽細胞は,CD14依存的な細胞応答を喪失し,内毒素性リボ多糖刺激に応じたIL-8産生が著しく抑制された。これらの成績は,P.gingivalisのジンジパインがヒト歯肉線維芽細胞のCD14を特異的に分解して,CD14依存的免疫応答を喪失させることによって,同菌が宿主の自然免疫機構をエスケープする可能性を提示している。
- 2002-12-27
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