英国知的障害者施設および精神障害者病院の社会環境に関する研究 : 知的障害者の脱施設への課題を探る
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概要
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英国では1971年からコミュニティケア政策の推進により知的障害者の地域生活推進プログラムが実施されているが、知的障害者施設および精神障害者病院の閉鎖プログラムに伴う社会環境の低下、施設の看護スタッフのモラールに与える影響などは、未だ、十分に検討されてはいない。これらの問題を明らかにする目的で、1989年3月から6月の3ヵ月間、英国ウェールズ州の知的障害者施設および精神障害者病院において、参与観察、面接調査を含むフィールドワークを行った。これらの施設の社会環境は、閉鎖プログラムの導入により財源が地域ホームに向けられるようになったため、職員配置、処遇、物理的環境などの面で、「普通の生活」の概念から著しくかけ離れた低レベルのものとなっていた。脱施設プログラムに関しては、(1)看護スタッフのモラールの低下を防ぎ、脱施設を目指す知的障害者に適切な援助を提供するためには、脱施設プログラムの全てのプロセスにおいて看護スタツフの完全参加を可能とすること、(2)脱施設者と共に地域の小規模ホームに移る看護スタッフは、施設的ケアから脱却し、コミュニティケアの理念に基づくケアの実践を目的とした再教育プログラムを事前に受ける必要があること、そして、(3)地域での生活の質を保証し、地域ホームでの再施設化を防ぐために、各ホームのケア水準を監視するシステムを早期に整備することの重要性が明らかとなった。
- 1995-03-10
著者
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