災害救助と個人情報の保護 : 法解釈と立法政策的課題
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概要
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災害が発生した場合、高齢者、障害者、乳幼児等、いわゆる「災害弱者」の救助はどのように行われるのであろうか。誰が「災害弱者」なのかは、事前に行政側で把握しておくべき情報ではある。しかし、この情報は個人情報中の核心的情報であり、みだりに外部へ情報提供されるべきではない。けれども、災害弱者の救助のためにはその間近にいる住民の協力が不可欠である。そのためには、救助にあたる関係機関(警察・消防・自衛隊等)や関係者(民生委員、町内・自治会長等)への当該個人情報の事前提供も必要となる。災害救助と個人情報の保護、これら二つの要請の調和点をどこに見いだすか。この問題を立法政策的提言をもまじえ、主に法解釈の視点から考察した。あわせて、かかる情報提供と公務員の守秘義務との関係も論じた。両者は次元を異にする別個な問題である、というのが本稿の立場である。
- 1999-07-31