ベルリーナー・アンサンブルの『モリエールのドン・ジュアン』について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
今の日本で劇場に足を運ぶ人々は、「笑いと元気と斬新さ」を求めています。新劇界がもっと喜劇を採り上げ、喜劇役者がいないならば、思いきって吉本新喜劇の役者を客演に招いて芝居づくりをすれば、日本の演劇はもっと面白くなるのではないでしょうか。そんな訳で、喜劇役者が演じたと言われるモリエールの『ドン・ジュアン』と、ブレヒトの弟子たちが改作した『ドン・ジュアン』を選び、両作品を比較してみました。モリエールのドン・ジュアンもベルリーナー・アンサンブルのドン・ジュアンも、偽善者になることを宣言してから地獄に落とされるのですが、そこまでの過程において、アンサンブルの方はモリエールと違って、ドン・ジュアンの偽善者たるにふさわしい本性を鋭くしかも笑劇風に描いています。また、アンサンブルはこの喜劇の中に、1950年代のドイツの情況を忍び込ませてもいます。
- 2003-03-25