在宅医療のための医療福祉技術
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概要
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病院など医療専門施設での診療を目的に発展した医療技術が,最近では次第に,リハビリテーションや身障者の支援とともに,在宅での介護治療,罹患予防,健康増進といった医学の近接領域にも拡張され,応用されようとしている。しかし,病気を治すことに何等大義名分の立たない家庭内に,従来の病院型医療技術をそのまま持ち込むことには,法的規制以外の観点からも大きな障害がある。家庭内で医療機器を扱う者は,家族など介護者や患者など当事者自身であり,全くの素人である。更に高齢化の進みつつある近未来においては,高齢者を対象とした健康管理機器が導入されるであろうが,家族の介護の得られない独居者の場合も考慮しなければならない。生体計測技術に限ってみても,このような在宅環境において有効に利用されるためには,従来の医療技術とは全く異なった立場からの新しい手法の開発が必要となる。本総説では,在宅医療の段階,目標,条件を分析し,在宅医療技術に望まれる特質を論じている。その上で,近未来的な展開を含めた広義の在宅医療においてとくに重要とされる健康管理のための患者や高齢者のモニタ技術に的を絞り,無侵襲計測法や無拘束,無接触計測法など,必要とされる要素技術を展望し,問題点を挙げた。とくに従来,開発の進められてきた能動型無侵襲計測技術に,更に新しい技術開発のためのヒントのあることを強調し,いくつかの実例について説明を加えている。最後に著者の提案する在宅高齢者の健康管理システムを紹介し,結論として,今後の技術開発のあるべき姿についてまとめている。
- 1997-03-30
著者
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池田 研二
東海大学開発工学部基礎教育系
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池田 研二
Institute Of Research & Development School Of High-technology For Human Welfare Tokai University