フラスン語の否定辞rienの移動について
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概要
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フランス語では,目的語は本来動詞の後に位置する。しかし,フランス語の否定辞rienが他動詞の目的語であるとき,動詞が過去分詞になっていると,rienはその過去分詞の後ではなく,前に置かれる。このとかのrienは名詞ではなく,副詞的なものとしてとらえられるかもしれないが,そのような見方にはいくつかの不都合な点がともなう。我々は,複合時制などにおいて過去分詞の直前に置かれるrienは,その過去分詞の目的語であり,目的語の本来の位置から過去分詞の前に移動してきたと仮定する。移動の理由は,rienが,無標の場合には,強勢が置かれにくいという特徴を持ち,そしてこの特徴は形態的なものであり,この形態的な特徴がrienの移動の原因となっていると仮定する。このように考えることで,rienが過去分詞の前に現われることが,極小主義の考え方に沿って説明されうるということを示す。
- 神奈川大学の論文