従業員の教育訓練参加への影響要因に関する研究 : ホテル業界の経営形態による差を中心として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿は,ホテル業界における従業員の教育訓練参加への影響要因を把握することを目的としている。特に,このような影響要因がホテル組織の経営形態-独立系とチェーン系-によってどのように異なるかを探るものである。資料収集のためには,ホテル業界の従業員を対象として質問紙調査を行った。分析の結果,独立系の場合は,性別,教育水準,キャリア段階などの個人属性の影響が大きいことが明らかになった。一方,チェーン系の場合は,教育訓練への参加を支援する環境的特性,個人心理的特性などの影響力が大きいことがわかった。また,チェーン系においては,転職の多い一般社員よりは,第一線管理者以上の段階へ教育訓練投資が行われ,より選別的なHRMが行われていることがわかった。更に,本研究の結果のうち,先行研究の結果と大きく異なるのは,技能の企業特殊性とOff-JTや配置転換との間に有意な相関が現われなかったことである。このような結果は,製造業とは異なるホテル業界のようなサービス分野の特徴-業界内の業務技能の標準化,技能の模倣の容易性など-によるものと思われる。以上の結果に基づいて,幾つかの示唆が議論された。
- 1997-12-25