花弁類の食品化学的研究(第3報) : アントシアン系色素の食品染着性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1) バラおよびツツジ花弁抽出液の食品染着性をみるため,食品試料として甘藷デンプン,可溶性デンプン,デキストリン,寒天,ミルクカゼインを用いて実験した結果,これら天然色素による食品の染着は可能であるが,食紅より若干染着性は劣る.2) ツツジ花弁抽出液でゼラチン,寒天,ミルクカゼインを着色した場合,色調の安定性を15日間室内および冷暗所に放置して観察した結果,肉眼的にはほどんど変化は認められなかったが,ツツジ花弁抽出液で着色した室内放置の寒天がわずかに褪色した.冷暗所放置のものは4ケ月後にも著しい変化は認められなかった.3) バラおよびナスより鉛塩沈澱法によって分離したアントシアン色素とツツジ花弁抽出液の300〜600mμにおける吸収スペクトルを測定した結果,バラは522mμに,ツツジは530mμと435mμに,ナスは540mμと418mμに吸収極大がみられた.4) バラ花弁抽出液のpHによる色調の変化を吸光度により測定したところ,PH2で510mμに吸収がありPH8.5で590〜600mμに少し吸収があって緑黄色となる.なおナスのアントシアンの場合は, PH0.3から2.9に変化すると吸収極大は530mμから580mμまで移行し,色調は赤紫から紺色に変化した.最後に終始親切に御指導下さいました本学の青木みか教授に深謝致します.
- 1971-03-15
著者
関連論文
- 花弁類の食品化学的研究(第2報) : 花弁投与マウスの生化学的変化ならびに花弁の特異成分について
- 花弁類の食品化学的研究(第3報) : アントシアン系色素の食品染着性
- 花弁類の食品化学的研究-2,3-
- ポーラログラフ法によるカルシウムの定量
- 損傷デンプンの理化学性
- 花類の食品材料学的研究