会計システムの本質的機能に基づく会計職能の類型化 (笠井昭治教授退任記念号)
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概要
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笠井昭次教授退任記念号会計システムの社会的役割としては,利害調整職能や,意思決定支援職能,契約支援職能など様々なものが提唱されている。本稿では,こうした種々の会計職能に対し,会計システム固有のはたらき(機能) に対する潜在的株主や経営者の要請という観点から分析を加え整理を試みる。記録・報告・解読といった一連の構造を持つ会計システムは,委託者に対し受託者の行為を投射するという機能を持っており,その利用の態様には静的側面と動的側面に係るものがある。潜在的株主や経営者は,当該システムの二つの側面を自己の意思決定の判断や他者への関与のために役立てるため,その組み合わせとして六つの職能が観察される。これら職能を分析枠組みとして従来提唱されてきた会計職能説を整理してみるに,それら各説は,これらの職能のうちのいずれかのみを強調したものと言える。しかし,会計システムが委託者に受託者の行動を投射するシステムであるならば,この六つの職能すべてが会計職能と位置づけられることを看過してはならない。
- 慶應義塾大学の論文