本稿は、解明すべき課題につき、わが国において今後さらに議論が深められる契機となるべく、出向関係における三当事者間の法律関係に関するドイツの判例・学説の議論を紹介することをその目的とする。なお、本稿はその検討対象を、出向先と労働者との法律関係に限定する。なぜなら、三者間の中でも当該両者間の法律関係に対する評価が、日独両国においてそれぞれ対立するからである。
神戸大学大学院法学研究科