企業行動の国際化と摩擦 : グローバル・ローカルモデルの視点から
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概要
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本稿は、一九八〇年代以降の日本の自動車産業の動向を事例に、わが国の企業行動の国際化の進展と現状をグローバル・ローカルモデルの視点から論じ、若干の展望をえることを目的にする。激しい貿易摩擦に直面した八〇年代、輸出型成長の限界を露呈した日本の自動車産業は、アメリカの中央部に巨大な「トランスプラント地帯」を形成し、新たな現地経営の段階をむかえている。本論では、まず、日本の自動車産業のグローバライゼーションを加速した輸出自主規制とアメリカへの工場進出の動向を概観する。次いで、アメリカ国内に出現した「ローカル空間」に着目し、立地段階から操業段階へと現地経営が進展していく過程で、日本のトランスプラントが直面するアメリカ国内の集団や組織、個人との間に生じる緊張や対立、葛藤や紛争を具体的に考察する。さらに、葛藤や対立の鎮静化という観点から「ローカル空間」の現状を考察し、日本での企業行動をモデルにした経営システムの移植過程で発生するアメリカの労働者や労働組合、部品業者や部品業界との衝突が、日本のトランスプラントの現在直面する大きな課題であることを明らかにする。最後に、異なった経営システムが互いに出会い、相互に排他的な差異の克服が求められている「ローカル空間」の現状を踏まえ、今後の経験的研究で解明すべきひとつの課題として、当事者双方の「交互修正」とそこに創出される「新しい意味」の探求を提示する。
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