女性の職歴類型の計量的把握 : フルタイム継続女性と専業主婦の比較を中心に
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概要
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1995年の「社会階層と社会移動全国調査」(SSM)データを用いて,女性の就労経歴の類型構成を行う。無職化・主婦化や再就職の分岐点を基軸としつつ,経歴類型ごとの階層差や意識の差について分析する。<BR>多くの女性たちが初職フルイタムの形で労働市場に参入するが,その後かなりの者が結婚退職や出産退職で無職化する。無職化・主婦転換のし易さと再就業の比率を合わせて見てみると,高卒女性がフルタイム→主婦→パート再就職のイメージを体現しており,四大卒女性は主婦転換しにくいが同時に再就職率も低く,逆に初等学歴女性は離職・再就職の両局面で「労働市場から離れにくい」事が分かる。この傾向は,職業で言えば専門職,大企業ホワイトカラー,中小企業ブルーカラーの傾向とほぼ重なる。また,夫の学歴が上がるほど離職し易く再就職しにくい傾向も確認された。<BR>典型的経歴と考えられるパタンを類型として構成し比較してみると,高学歴女性が二極化している様子がよく分かる。そして,特に性別役割分業意識については,存在と意識の整合性が如実に表れていると言える。<BR>尚,フルタイム継続女性は親との同居率が際だって高いという結果が得られたが,同時に家庭犠牲感が最も強く,子育てとの関係で自分の職業キャリアをどう位置付けるかが彼女達の主観的問題である事が伺われた。
- 2001-06-30