オーストラリア社会の地位の一貫性と非一貫性 : 1973ー74年の全国調査の分析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1973-74年の全国調査データを利用して、オーストラリアの階層構造を地位の一貫性・非一貫性の視点から検討した。学歴、職業威信、所得という3つの地位変数をクラスター分析して得られた知見は、次の3点に要約できる。(1) 上層、中層、下層の3つの地位一貫クラスター、及び4つの地位非一貫クラスターが析出された。そして、一貫的地位にある人々の構成比率は49.1%であり、非一貫的地位にある人々のそれは43.6%であった。(2) オーストラリアでは、社会的資源は次のように分配されていた。まず、中高等学校、大学、高等教育大学が近年に普及したので、一般的に若い人々の学歴が高い。次に、農民の職業威信が学歴に比べて格段に高い。それから、マニュアル・ワーカーは、40歳を越えると所得が減少する傾向がある。ただし、マニュアル・ワーカーでも、自営業者は学歴や職業威信に比べて所得が高い。最後に、移民は言語や文化の違いのために、就職で不利な立場に置かれ、学歴に見合った職業に就けず、所得も低くなりがちである。これらの社会的資源の分配規則が作用して、一貫的地位と非一貫的地位の人々が出現した。(3) オーストラリアでは、地位非一貫クラスターに属する人々は、階層帰属意識や政党支持で特殊な傾向はみられなかった。むしろ、それらは、地位自体によって規定されていた。
- 数理社会学会の論文
著者
関連論文
- 高齢者の社会的ネットワークとソーシャル・サポートの性別による違いについて
- コミュニティ・クェスチョン : キャンベラにおける検証
- 地方都市に住む高齢女性の主観的幸福感
- オーストラリア社会の地位の一貫性と非一貫性 : 1973ー74年の全国調査の分析
- 都市流入と社会移動 : キャンベラの事例