秩序問題への個人主義的アプローチ : 規範主義的社会学と契約理論からの挑戦との戦い
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概要
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本稿ではデュルケム(パーソンズ)の功利理論(合理的選択理論)批判、社会契約論からの見えざる手説明批判を、功利理論、見えざる手説明を区分せず、その擁護、反論を行なった。簡単に言えば社会学にたいしては、社会化(愛他心の喚起、将来の利益・公共の利益へのコミット)からの協力の発生の説明を避け、個人が相変わらず利己的なままであるのに協力が発生し得ることの証明と、社会契約論にたいしては、専門機関によるコントロール(監視と制裁)による利己的な個人のあいだの協力発生の説明を避け、そのようなフォーマルなコントロールがなくとも利己的な個人のあいだに協力が発生しうることの証明である。後者については二者ペア間インタラクション戦略では大規模匿名社会でもその戦略が進化的に安定的であることが明らかになった。しかし二者でなく、三人以上になると合意がないと協力の維持は不安定であること、そしてその人数が多くなるに連れて協力の発生すらおぼつかなくなる、つまり監視や制裁の統制がなければ協力の発生が難しくなることが明らかになった。
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