『意図せざる結果』論にみる不確実性の処理 (<特集>意図せざる結果)
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概要
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見えない優生思想は知らず知らずのうちに我々の日常の中に入り込んでいる。規範の存在を意味による複雑性の縮減という脈絡で正当化しようとする、ゲーレンからルーマンに受け継がれた規範論もそうした一例として問い直される必要がある。そこでは「意味」は不確実性を極力除去し、我々の救済願望を充足する道具と化している。それは「意図せざる結果」を前にして、不確実性に耐えるだけの「精神の貴族主義」を尊重する立場に立つニーチェとウェーバーとは際立った違いをみせる保守的規範論であり、意外にもフーコーの批判した「抑圧からの解放」図式の再生産といえる。「不確実性」を多分に有するが故に排除されがちな「障害者」との共生の可能性を模索するとき、こうした功利主義的価値前提に基づく機能主義的進化論の問題点を批判的に検討することは不可欠な作業である。
著者
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