<報告>放射線被曝の受容レベルについての調査 : 在日中国人学者と日本人学者の比較
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概要
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安全の基準は社会と当事者との契約, すなわち社会の合意で決められねばならない。それには, 人々の放射線安全に対する正しい理解が必要であり, 個人個人の理解の程度が十分で揃っていることが望まれる。その意味で, 社会の構成員の個人的放射線受容レベルが今日どのように分布しているかを知ることは, 放射線の合理的管理方策の在り方や一部公衆に見られるradiophobia (放射線嫌悪症もしくは過敏症)に対する対応の方策を検討する上で極めて重要である。このようなことから, 我々は, 社会を構成する色々の人たちを対象に放射線被曝についての受容レベルの調査を行ってきた。今回, 中日両国のそれぞれにおける医学系と理工系の2グループについて調査を行った。中日両国の学者ともに, 受容レベルの値は個人差が人きく, 広い分布を示している。また, 各グループとも, 個人レベルでの2受容レベル(これ以上は怖くてイヤというレベルLuとこれ以下は特に気にならないというレベルL1)間の間隔は狭かった。さらに, 理工系の学者においては, 日本人学者の受容レベルは, LuおよびL1ともに在日中国人学者の受容レベルより有意に高い値を示した(p<0.05, p<0.005)。医系学者グループについては, 中国人学者グループの方は, LuおよびL1ともに理工系学者グループのそれらより有意に高い値を示した(p<0.05, p<0.01)。一方, 日本人学者グループでは, 在日中国人学者および日本人理工系学者グループより高値である傾向は見られたものの, 統計的な有意差はなかった。知的水準の高い人達の間にあっても, 放射線被曝のリスクや安全に対する考え方は, 個人によって異なっており, 受容レベルは予想以上のばらつきを見せた。また, こういった事情は中日両国の国境に関わらないものであることが明らかとなった。
- 茨城県立医療大学の論文
著者
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加藤 和明
高エネルギー加速器研究機構
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呉 勁
茨城県立医療大学
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呉 勁
茨城県立医療人学放射線技術科学科
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加藤 和明
茨城県立医療人学放射線技術科学科
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加藤 和明
高エネルギー加速器研究機構:茨城県立医療大学
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加藤 和明
茨城県立医療大学 保健医療学部
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