ノーノ作品の邦訳作品名の検討
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概要
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ルイージ・ノーノLuigi Nono (1924〜)はヨーロッパではその名を知らない人はない位に有名な前衛作曲家であるが,現在の日本では彼の作品が演奏されることはおろか,その名前さえ忘れ去られようとしている。一方ではシュトックハウゼン,ブーレーズ,ケージなどの往年の中心的前衛作曲家たちは今なお日本の現代音楽作曲界ではその名を知らない者はいない位に「受け入れ」られてきた。しかし,ノーノを中心とするイタリアにおける前衛芸術家のグループと批評家との存在は一つの確かな影響力を持ち続けてきたのであり,音楽におけるそうした潮流の源であるノーノについて研究することは,従来日本の現代音楽界に欠けていた観点を補足する意味で重要なことである。本論考は,日本におけるノーノの「受け入れ」の一つの面である作品名の邦訳を,1)的確な訳語の選定,2)片仮名表記の回避,3)的確な翻案,4)第二次資料の吟味という4つの原則に従って検討し,ノーノ研究のための基礎作業を行ったものである。
- 広島文化学園大学の論文
- 1988-03-31