現代中国社会の変動 : 中国の城鎮の失業に関する研究
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概要
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中国の社会的改革と経済発展は,都市と農山村の労働者に未曾有の就業機会をつくりだした。しかし,中国が工業化と都市化へ進むプロセスの中で現れた労働就業と流動の問題も非常に深刻になっている。中国の総人口が大きいことで,労働力の増大スピードも非常に速い。企業システムの改革と経済の成長方式の変化によって,企業の過剰労働力は年々増えている。農山村の土地利用の減少や農業生産性の向上によって,農山村の余剰労働力が多く溢れた。それに加えて社会的失業人口の増加のため,過去になかった膨大な労働力源が形成された。だが,一方労働力への需要は遥かに供給量を下回っている。中国経済は比較的速いテンポで現代化に向けて邁進すると同時に,労働力への対処と就業問題という大きな課題を抱えている。城鎮の失業率の上昇という問題に直面している。本論文は1995年から行った中国城鎮の失業に関する研究の一部であり,またその研究背景について言及する。その目的は中国の都市部の失業受け入れ能力に関する重要性と緊急性を指摘することである。中国は人口の多い国である。50年代の初期の総人口は5.5億人であった。1990年の第4次全国人口調査の時点では11.3億人であった。1995年2月15日にはまさに12億人に達した。これほどの総人口と労働力資源の増大の速さから生じた労働力の就業問題は中国の重い社会的圧力になった。この問題を中国政府は十分に重視し,あらゆる努力を払ってこの難題を解決しようとしている。90年代以来,就業問題に対して一つの衝撃的な就業大軍が現れた。それは企業の余剰労働力と農山村の余剰労働力である。前者は城鎮の「離職労働者」(原文 : 下崗工)であり,後者は都市への出稼ぎ「農民労働者」(原文 : 農民工)である。如何に合理的にこうした労働力に対処するかは,中国の改革を推進し深め,経済の転換方式を成功させる上で,今後の最大の課題となる。したがって,本論文はこの問題を念頭にした城鎮の失業の受け入れ能力に関する調査研究である。つまり,それは城鎮の就業と農山村労働力の流動趨勢を明らかにすることである。農山村から都市に流動してきた「農民労働者」は,城鎮の労働者の就業に影響を与えるだけでなく,城鎮の失業の受け入れ能力にも影響している。
- 関西学院大学の論文
- 1998-07-20