<論文>絵本と紙芝居から見る心の教育
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概要
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今回は「絵本と紙芝居から見る心の教育」について考察することにした。1998年の中央教育審議会答申「幼児期からの心の教育の在り方について」は, 私たちに基本的な人間として生きる姿勢を足元から見直させてくれた。特に幼児期に大切なことを親が心に留めて子どもに接し, 働きかける必要がある。そこで勧められたことの中に「親が子どもに本を読んで聞かせよう」があった。家庭で, また幼稚園や保育所で, あるいは図書館でのお話会などで絵本の読み聞かせや紙芝居が行われている。この機会にこれら絵本や紙芝居について少し詳しく見ていくことにした。二つとも「絵とことば(文)」から成るものであり, 共通点も多いが, またその相違によって補い合っている。 絵本とは何かについて, そのことばから, その内容, そして役割について考察し, 心の教育に関連してまとめ, また同様に紙芝居について検討した。絵本も紙芝居もともに仲介者, つまり読み聞かせてくれる人, あるいは演じてくれる人が必要であり, このことがその人と子どもの心のふれ合いや心の通い合いとなって, 子どもにとっては何にも変えられない貴重な体験となるのである。こうして子どもは自分の存在の確信, 人への信頼, 愛されている原体験を得る。今日子どもの問題が跡を絶たず, 手を取り合って緊急に心の教育を押し進めていくように勧められている。このときに当たり, 原点に返り, 幼児期からの心の教育に力を尽くし, まず親子のぬくもりを感じる絵本の読み聞かせから始めて, 心の成長を望みたいものである。 絵本と紙芝居の歴史を溯ることによって, 絵本においては人間の歴史の中で脈々と長い間, また紙芝居においては近年曲折をたどりながらも, 一筋の流れが続いていることを考察した。それらのよい種が子どもの心と同じように成長し, 私たちの心の花となって実を結ぶことを願っている。
- 2002-03-10
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