<原著>ハムレットによるガートルード像 : ガートルード再考/再興のために
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概要
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本稿はガートルード再考/再興の予備研究である。その目的とするところは, ガートルードに対するハムレットの異常ともいえる嫌悪感をシェイクスピア当時の社会的, 文化的コンテクストにおいて考察することである。ガートルードに対する/に関するハムレットの言葉は, ミソジニーのバイアスがかかっていて, 現実の彼女にあてはまらない。我々が舞台上に見るガートルードは, むしろハムレットが述べるところと逆である。ハムレットが述べているのは, シェイクスピアを含む当時の男性が女性に対して抱く偏見である。彼らはすべての女性を聖母マリアと人類の堕落の元凶であるイヴに二極分解する。こうした女性観は西洋の歴史に一貫して見ることができる。
- 1997-03-30