〈地域レポート〉本学周辺の遺跡について : 環境教育の視点から
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概要
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佐倉市山王周辺に目を向けてみると,古代や中世の遺跡が点在していることがわかる。大篠塚西台1・2号墳,大篠塚第2号墳,人形塚,上人塚などの古墳群をはじめとし,東関東自動車道建設に先立ち発掘された古墳時代ー平安時代までの住居址,大篠塚砦跡・小篠塚城跡などに代表される中世の城跡などが,舌状台地の先端部と縁部に散見できる。これらの遺跡は,古代より連綿と人々の生活が営まれてきたことを明確に物語ってくれる。次に,これらの遺跡を環境教育の題材として取り上げてみる。環境教育の基本理念は,ベオグラード憲章で宣言されたように,地球市民教育にある。有限な生態系地球上で,人間も含めたすべての生物が共生していく道を捜し,創り出していくことである。この視点から遺跡を考察してみると,二つの特徴があることがわかった。一つは,地域に密着した題材なので,地域住民の関心を呼び起こすのに適していること。もう一つは遺跡が歴史と文化そのものであること。自国の歴史と文化を理解できるようになり,地球市民として成長できる。また,過去を学ぶことによって,未来への継承に貢献できるのである。環境教育の一環として,地域住民を主たる対象とする遺跡見学会を開催した。今後も,地域住民の関心を高めていくために,さまざまな働きかけが必要である。そのためには,各方面の協力が不可欠であると同時に,住民自身にも,傍観→参加→参画と主体的に行動できる「市民」としての自覚が求められている.。