<論文>疑問符の「の」に関する一考察
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概要
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本稿は,日本語の「の」がGB理論の下での日本語統語論先行文献(Saito & Hoji 1983, Saito 1985, Lasnik & Saito 1984, 1992等)で,あたかもそれが疑問符(question marker)として使われていることに対する反論である。「の」は名詞であり,疑問符として使われる場合は「のですか」の省略形であり,「か」がない「のです」という形が疑問文として成立するためには上昇音調で発音されなければならない。下降音調で発音されると当該の文は疑問文ではなく肯定文として解釈される。また,「の」は補文中に現れる真の疑問符「か」と共存する事実から,「の」は決して補文の疑問符として現れ得ないとである。さらに,本稿は,名詞としての「の」を含む補文からの疑問詞「なぜ」の取り出しがGB理論(ECP)の枠組みでは説明できない場合があることを例証する。
- 国際基督教大学の論文
- 1996-03-31