<論文>情報取りにおける聞き手のストラテジー
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概要
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外国語学習者は限られた言語能力を使ってコミュニケーションを行う際に,さまざまな問題に直面する。それらの問題処理のために,自己の言語能力の不備を補足する方略は,「コミュニケーション・ストラテジー」と呼ばれ,近年盛んに研究されている。従来の日本語でのコミュニケーション・ストラテジーの研究は主に,話し手としての視点からなされてきた。しかし,対話の展開には,情報の受け手である聞き手としての働きかけも重要である。本稿では,中級日本語学習者が情報の聞き取りに使用するコミュニケーション・ストラテジーについて,聞き手としての観点から分析し考察を試みた。情報の聞き取りに使われたストラテジーを聴解過程の段階によって,「聞き返し」「応答」「再質問」「回避」に大別し使用実態を分析したところ,ストラテジーは対話相手の発話全部にではなく,選択した情報に対して集中的に使われることがわかった。また,「聞き返し」,「確認」,「問い返し」は母語話者との対話の中で起きた問題を訂正処理する方略として,「相づち」,「反応」,過剰なストラテジー使用の「回避」は円滑な会話の流れを維持する方略として有効であることが明らかになった。
- 国際基督教大学の論文
- 2001-03-31