<報告>妊婦の自動車運転に関する保健指導 : 妊婦の自動車運転とシートベルト装着について
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概要
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我が国においては,交通網の発展にともない妊婦による車の運転も増加している。そこで,妊娠中に自動車運転を行う割合,自動車運転が身体に及ぼす影響及び自動車運転中にシートベルトを着けることの是非を先行研究を題材に検討し,妊婦の自動車運転に対する保健指導方法を考察した。その結果,自動車の運転または同乗することが妊婦に与える影響は,妊婦の心身の状態や運転技術,道路の状態などの条件に左右されるとの結論に至った。保健指導を行う際,ハイリスクの妊婦に対しては運転や同乗しないように指導して行く必要がある。しかし,リスクの無い妊婦に対しては,妊娠中の生理的変化や精神的変化,車に乗ることの弊害の有無を充分説明し,妊婦自身が運転するかどうか決めてもらうことが大切である。シートベルト着用による弊害や法規制が無い事を理由に,シートベルトを着用しない妊婦が多い。しかし,自動車搭乗中の事故による死傷を予防するためには,シートベルトが有効である。重要なのは,法律によりシートベルト着用を画一的に義務付けすることではなく,保健指導において,母体と胎児の生命を守るための正しいシートベルト着用方法を,妊娠早期の段階で徹底させることである。妊婦が自動車の運転や同乗する際に行うべき保健指導は,以下の通りである。1.道路状況を事前に確認し,時間の余裕をもって行動する。2.少しでも体調の不良を感じたらすぐに駐車し休憩する。3.ハンドルが腹部に当たらないようにハンドルと腹部の距離をあける。4.緊急時の反応が遅くなることを考慮し,臀部と背部をシートに密着させ座席を必要以上に後ろに下げたり倒したりしない。5.シートベルトの必要性を認識し,腹部を避けるシートベルトの装着方法を学んでもらう。
- 順天堂大学の論文
- 2003-03-29