<原著>重複障害を持つ知的障害者の親の思いについて : 在宅児通院治療を長期間続けた親の面接から
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概要
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本研究は, 知的障害でてんかん, 自閉症などを持つ重複障害児を医療機関に通院治療しながら育てた親が, 現在どのような生活・心理状態にあるのかを知り, 生涯支援のあり方を検討する目的で行った.対象の家族は21例, 「子」の平均年齢は34.1歳, 親の平均年齢は父親65.3歳, 母親63歳, 通院期間は平均29.7年間, 主治医は秋山泰子である.方法は, 1998年4月〜1999年8月, 秋山が行った医療面接を, 望月が整理, 検討した.親は「子」の障害に早期から気付き, 「子」の発達にとってよりよい療育, 教育, 医療などを選択し, 「子」の知的障害・合併症・行動障害を理解し, 適切な対応をしていた.親は家族, 医師, 福祉関係者, 友人などの支持機能を認識していた.したがって, 総体的に親の負担感は少なかったが, 調査中に配偶者の死および病気のために負担が増大した2例では, 医師や福祉関係者が重要な支えとなっていた.「子」の将来について, 比較的若い親は具体的に考えていなかったが, 高齢の親の多くは「親なき後」について心配をしていた.様々な危機を乗り越えてきた観たちは, わが子をありのままに捉え, かけがえのない存在であると感じ, 出来るだけ在宅で生活させたいと考えていた.在宅生活を維持するために, また親の不安を軽減するために, 医療福祉的サポートの充実が必要であること, 対応の困難な重複障害を持つ知的障害者に適した入所施設の整備が必要であることが示唆された.
- 川崎医療福祉大学の論文
- 1999-12-25
著者
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